合掌は、もともとインドで古くから行われている礼法の一つです。数多くある礼法のなかで、合掌だけが仏教と結びつき、何千年も伝えられてきました。それは、合掌するということが、ただ手を合わせるというだけのことのようで、実は人間の精神状態と奥深く関わっているからです。
インドの古い歌に「右ほとけ左われぞと合わす手の なかにゆかしき南無の一声」というのがあります。インドでは右手は食べ物などを扱う清浄な手、左手は汚れたものを扱う不浄の手と考えられていることから、右手は神聖なもの、つまり仏を表し、左手は醜いもの、つまりわれわれ凡夫を表しているといわれています。人を愛する心がある一方、人を憎む心も持っているのが、人間の本来の姿であるといっているわけです。
そういった二つの心を持つ私たちは、南無阿弥陀仏と称えることで、心から仏さまと私たちが一つになれる世界が開かれてくるのです。きっとあなたのおばあさんは、合掌することで、素直に心の底から生きていることを喜び、仏さまを身近に感じられていたのだと思います。
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