フォト・トラベル
パキスタン 「ガンダーラ」
「ガンダーラ」は、インド亜大陸の北西部、今のパキスタンの北西辺境州のペシャワール県にあたる地域の古い地名です。 ここは、西からきたカーブル河、北から流れ出たスワート河、東北から流れ下ったインダス河の三河川が合流し、三方を山に囲まれた三角形の盆地を形成。盆地の大きさは、東西100km、南北70kmほどで、気候は温和にして冬でも霜雪がなく、穀物や果物が昔も今も変わらず収穫されています。
ガンダーラは、シルクロードのインドヘの出人口にあたっておリ、インドからはここを通って中央アジアに出、そこから西方や東方の国々との交通が開かれていました。過去、どれだけ多くの人々や文化がここを通りぬけていったことか……。
仏教もここを通って私たちの日本に伝わってきたものです。 ガンダーラが最も栄えたのは、―世紀頃、クシャーン王朝のカニシャカ王のときです。現在、ここに残されている仏教遺跡は、ほとんどがこの時代のものとみられています。
中国側の記録に、初めてガンダーラの名が現われるのは、南北朝時代の『北史』です。その後も法顕(ほっけん)・宋雲(そううん)・玄奘(げんじょう)・慧超(えちょう)などの入竺憎が必ずガンダーラを訪れており、彼らの旅行記にこの国のことが記されています。しかし、9世紀になると、ヒンドゥ・シャーヒーが興り、11世紀にはイスラムのガズニー王朝が侵人するなど、かつて栄えた仏教文化は、二度と復活することはなかったのです。
広大なガンダーラの盆地に残された遺跡群は、この地の往時の繁栄を偲ばせると同時に、文化の栄枯盛衰、人生の諸行無常を改めて思い起こさせてくれます。
茉莉花VOL06 1992年新年号より
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