フォト・トラベル
ミャンマーの歴史を見守ってきた、シュエダゴン・パゴダ
ミャンマー・ヤンゴン市街を見下ろすシングッタヤ丘の頂上に、黄金色にきらめく大仏舎利塔の姿を見せるシュエダゴン・パゴダ。伝説によれば、このパゴダは2,500年前、2人の商人がインドから仏陀の遺髪8本を持ち帰り、ある大きな寺院に納めたのがその始まりとされています。
大小60余りの仏塔は多くが15世紀に建てられたもので、東南アジアの様々な建築様式がここに集合し、その美を競い合っています。なかでも、訪れた人々の目を奪っているのが高さ約99メートルの大仏塔。塔の最頂部分の約5千個のダイヤモンドと2千個以上の宝石類、そして8千枚の金箔が光り輝き、荘厳なる威光を放っています。
このような過剰とも思える装飾も、国民の反感を買うことはありません。仏教はミャンマーの公認宗教であり、男子は10歳前後になると、パゴダに入って仏教の修行を積むことになっているからです。パゴダは国民の生活に密着した信仰のシンボル的存在なのです。
一人一人の祈りが全体の生活を潤し、環境を変え、そして運命を変える豊かな実りとなっていくことを信じて、ひたすら祈りを捧げる人達。この国が背負ってきた数々の不幸も、その不屈の魂やかたくなな信念につながるべく、彼らの肉体の奥深くに刻まれています。
シュエダゴンは、西欧との通商の門戸としての繁栄、アラウンパヤー王に破壊された惨禍、ヤンゴンとしての復活など、篤信の国民がたどるミャンマーの歴史を見守り続けることでしょう。
茉莉花VOL05 1991年秋号より
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