フォト・トラベル
大内陣南側の御忌前のお荘厳。
日本一の大きさを誇る御影の両側に、十五具のお供物がお供えされている
今回は、御影堂の大内陣南側のお荘厳をご紹介いたします。大内陣南側には蓮如上人の御影が奉献(ほうけん)されていますが、これは山科八幅(本願寺所蔵)の上人御影を基調とし、本願寺絵表所が約二年の歳月をかけて制作・進納したものです。
総丈433cm、総幅230cmという大きなもので、御影としては日本最大。
午後一時から御忌前参拝の時間が設けられます。平常の濡れ縁付近から拝すると、ライトアップされた御影が御簾の中にくっきりと浮かび上がります。
御影には、七言四句(しちごんしく)の画讃(がさん)がご門士さまによって揮毫(きごう)されています。
「八十餘年仰佛恩(よねんごうぶっとん) 信因稱報讃宗源(しんいんしょうほうさんしゅうげん) 法城嚴護文章力(ほうじょうごんごぶんしょうりき) 本願慈風導後昆(ほんがんじふうどうこうこん)」という画讃のご文(もん)は、「蓮如上人は八十余年のご生涯を通して仏恩(ぶっとん)を仰がれ、信心正因(しんじんよういん)・称名報恩(しょうみょうほうおん)の浄土真宗の根源を讃嘆(さんたん)せられた。法難相次ぐ中に厳しく法城を護り文書伝道に力を注がれ、本願の慈悲深いみ教えにより後の世の私たちを導いてくださっている」という意昧で、上人のご生涯とお徳を偲ぶものです。
御忌前のお荘厳は香炉(金香炉・土香炉)、花瓶一対(桧の笠真)、燭台一対の五具足。お供物は十五具で、御影の左右に置かれた三段の供物台にお供えされています。
法要初日は、彩色餅・白雪香・紅梅香・山吹餅・桧風・縮羅・藤ノ丸・洲濱・羊羹・紅餅・銀杏・干瓢・昆布・観世麩・寒天がお供えされています。
本願寺では大切な法要の時、大内陣の他に出内陣や中内陣という形式をとることがあります。出内陣とは内陣を外陣の方にまで広げたもので、昭和五十五年のご門主さまの法統継承を仏祖に奉告された伝統奉告法要の時に採用されました。中内陣は余間の半分の畳を取って内陣としたもので、平成三年の顕如宗主四百回忌法要・寺基京都移転四百年記念法要・殉難者総追悼法要の時に採用されました。
遠忌法要の荘厳シリーズ/完(「大乗」平成10年5月号より転載)
茉莉花VOL.33 1998年秋号より
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