フォト・トラベル
2層目外側の複製画は庭側から見ることができる
複製画が完成した飛雲閣2層目の内部
平成五年七月より修復工事が行われていた本山・滴翠園にある国宝・脂雲閣が平成八年春に竣にした。龍雲閣は三層から成る柿茸きの楼閣建築で、二層目の「歌仙の問」を彩る回二十六歌仙図」の復元が平成八年七月末に完ダ。この歌仙図は、小野小町や在原栗平など平安時代を代八する三十六人の歌人の肖像を、杉バや板扉の表裏に描いたものだが、原副は傷みが激しく、とくに外側の杉戸に描かれたものは輪郭すらはっきりしない状態であった。そのため、収蔵庫に保存した後、新たに幌写した轍装副に入れ替えた。
復元作毫は11年半に及んだ。「復元できるかどうかが一番の問題でしたが、調査でこれなら何とかなるだろうということになり、作業に入りました。復元を終えて、改めて歌仙図の優雅さを感じています」と復元に携わった川面美術研究所の圈家、谷井俊英さんは話す。
マイクロ写真や赤外線写真などを用い、薄い紙に輪郭や模様などの下絵を赳こし、それを杉戸に写し着色していく作業。「かろうじて残る内側の絵を頼りに、作者の筆使いを研究し、忠実に俣写することを心掛けました。作業は六人で行いましたが、御朧(みす)の所は墨で線をかき、カキ殼を砕いた胡粉という白い絵の具を使って盛り上げ、最後に金箔を置く。御簾の一本一本を丁寧に盛り上げるのは、根気のいる大変な作業でした」。この苫労により挑山文化を偲ばせる色彩がよみがえった。
「絵の具は当時のものと同じ素材で、緑色は孔雀石、白色は貝殼の粉など天然素材を使っています。建物白体がかなり古いものなので、建物の色合いとのづフンスをとるために杉戸全体に古色を付け、少し古びた感じに仕上げています」。建物との調和も復元では車要になる。
(つづく)
※写真・記事とも「本願寺新報」平成8年10月1日号から転載
茉莉花VOL.26 1997年 新年号より
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