祖母の背中Daido(京都府)
幼いぼくを背負ってくれた背中
あのまっすぐな祖母の背中から
ぼくは自分で降りることができなかった
祖母に階段に座ってもらって降りていたっけ
ぼくはいつも二階の祖母の部屋で寝ていて
遊び疲れて一階の居間で眠りかけると
祖母が背中におぶって二階へ連れて行ってくれた
うとうとするぼくに聞かせてくれたのは子守唄
あれから二十年もの月日が流れて
まっすぐで高かった背中は曲がって低くなった
しっかりしていた足取りもなんだか頼りない
二十年経ってはじめて
祖母を旅行に連れて行った
好奇心旺盛で旅行好きな祖母も
今ではひとりで出歩くこともなく
家の中に籠もり気味
足と腰が痛み
耳もあまり聞こえない
花の香りもわからない
小さな手をひいてくれた祖母の手を
今度はぼくがひいて歩く
階段の昇り降り
段差のある場所
祖母が躓いたりしないように
小倉城、門司港レトロ街
喜んでくれた祖母の笑顔
「孫と旅行できるなんて思わんかったけぇ」
その言葉だけで十分
ありがとう
おばあちゃん
喜んでもらえてよかった
来年もまた行こうね
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